主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.05

将来を担う子を育み、地域産業も活性化
タケノコと味噌に込めた美里シニアの想い

<ふるさと名品>

タケノコ、味噌、梅ジャム

<商品の入手・問い合わせ先>

美里農産加工組合

〒514-2112 三重県津市美里町北長野4
TEL 059-279-2035

<会社概要>美里農産加工組合
〒514-2112 三重県津市美里町北長野4
TEL 059-279-2035
<事業概要>農産加工業

美里農産加工組合 組合長

山川徳美(やまかわとくみ)さん(70)

旧・美里村で生誕。中学を卒業後、近鉄で線路を敷く仕事に長く従事する。一身上の都合により地元へ戻った後は、地域のためになる活動をしたいと、PTAの会長や区長を経て、美里村の議員を2期6年務める。2006年に津市との町村合併を機に議員を辞し、美里農産加工組合の組合長に就任。地域の活性化、竹林の環境改善などを念頭に、美里のタケノコや味噌、梅ジャムの製造から販売までに尽力している。

安心安全で、舌に身体においしい
美里の恵みを多くの人へ届けたい

“美しい里”と書いて美里村。2006年の町村合併により美里村から津市美里町となったが、文字通り豊かな自然に抱かれた美しい里山が今も残る。美里農産加工組合は旧村時代、婦人グループによる味噌造りの拠点に、地域おこしの一環としてスタートしたのが始まりだ。組合長の山川徳美さんは、町村合併の直後より現職を担う。

同組合の現在の主力商品は、タケノコの水煮と味噌、ほかに梅ジャムも少量生産。美里地域の肥沃な土壌で育まれたタケノコは、シーズンの3月下旬~5月上旬になると毎日掘りたてが農家からJAを通して組合へと届けられる。その量、日によっては3トンにも及ぶという。これを、味や鮮度が落ちないよう皮付きのまま、例え作業が深夜になろうともその日のうちに湯がききり、キレイに洗って一斗缶で真空保存する。

一方の味噌は『美里在来』という希少な地元産の大豆と米、塩を使い、厳冬期の12月上旬より3月いっぱいまで丁寧に仕込み作業を行う。いずれも完全無添加の手作り。地産の食材を用いた美里が誇る特産品だ。タケノコは水煮としてパックに小分けして、味噌もパックや樽詰にして順次出荷をしている。

「美里のタケノコは地元のキレイな水で時間をかけて湯がくことで、米ぬかなどを使わなくてもアク抜きができます。だからタケノコ本来の色味がそのまま残り、頭の先からお尻までどの部分もやわらかく、えぐみも一切ありません。味噌は大豆に甘みがあって、子どもにも好かれる味。そして、何よりも安心安全、口にするものはそれに尽きます」。自身の目と手で見て取り扱う商品だけに、山川さんは自信と誇りを持っている。

  • タケノコや味噌、梅ジャムの製造管理だけでなく、販路の拡大や売り込み、イベントへの協力など幅広い活動を精力的に行っている

  • 美里のたけのこ、美里みそ、梅ジャムの3品が組合の商品。タケノコや味噌は東京・日本橋の「三重テラス」でも取り扱われている

  • 三重県下でタケノコの加工・販売を行うのは当組合と、桑名市に1件あるのみ。美里のタケノコは味がよく、非常に評判も高いという

健やかな子どもの成長に美里の幸を
小・中学校の給食で地産地消に協力

組合のタケノコと味噌は、近隣スーパーや道の駅などでの小売だけでなく、津市の小・中学校の学校給食にも用いられている。味噌は昔から使われてきたが、美里のタケノコの学校給食への利用は、山川さんの働きかけにより実現したものだ。

「昔は美里の学校で使う味噌を、調理人さんや栄養士さんがこちらへ造りにいらしてたんです。もちろん、今はすべて組合で責任を持って味噌造りをしていますが、それがご縁で今まで学校給食に使われていなかったタケノコのお話ができました」。試食を用意して実際に食べてもらうことで食材の良さを伝え、供給体制も整えていったという。ちょうど地産地消を求める時代背景も助けとなり、少しずつ学校給食に使われるようになったのは、今から6年ほど前のことだ。現在では一年分の献立に合わせて、給食用のタケノコを優先的にしっかりと確保している。

「私が組合長となり、自分の目で商品を確認し、また働く方々の人となりも見届け、これならば子どもたちに食べさせても安心だと確信できたんです」。地産のおいしく安心安全な食材を子どもに届けることで、少しでも地元に誇りを持ってもらい、地域の将来を担っていってもらうことができればと、山川さんの学校給食にかける想いは強い。

タケノコ、味噌ともに学校給食だけでなく、小売りでの取扱高も順調に伸びている。「私ひとりではとても、とても…。マジメに、一生懸命に働いてくれるみなさんあってのものです」。山川さんは幾度となく、感謝の言葉を口にする。

  • タケノコをカットして真空パックの小分けサイズに。真空パックはスライスしたカットタイプと、細く刻まれたタイプの2種類ある

  • タケノコのパック詰め作業は、出荷に合わせて通年行う。作業量や日程を調整しやすいため、休みをしっかり取りながら仕事ができる

  • タケノコを洗い、カットし、真空パック詰めするまですべて手作業。慣れた仕事だが、食を扱うだけに注意しながら丁寧に作業を行う

自分裁量のフレックス出勤だから
体に無理がなく仕事が続けられる

組合で山川さんとともに働くのは、主に地元のシニア女性4名だ。繁忙期は12月上旬から3月いっぱいの味噌造りと、3月下旬~5月上旬のタケノコのシーズン、そして5~6月に梅ジャム作りが少々。仕事はオートメーションではなく、ほぼ全て人を介した手作業だ。力を要する重労働も多く、冬場はかなり厳しく冷え込むという。

「この歳になって毎日毎日仕事はかなわんのです。今日は急に用事ができたんやわ、休ましてもろてええですか?ええですよって。忙しい時期は別にして、出勤は気まま(笑)。だからその分、みんなで協力しながらやっています」と山川さん。

勤続15年、一番の古株である前田和代さん(69)も、柔軟な働き方ができる今の体制がありがたいという。「仕事は冬が忙しく、夏に休みが多いんです。うちの百姓仕事もできますし、ちょうどええんです。都合が悪い時もちゃんと休ませてもらいますし」。山川さんが組合長になってからは、タケノコが足りないほど取扱量も増え、仕事は忙しくなった。しかし、働く時は忙しく働き、休む時はスパッと休む。メリハリのある働き方で、インタビュー中も晴れ晴れとした笑顔が弾ける。

実は、現在の施設では、すでに手狭になりつつあるという。「廃校となった小学校跡地がありましてね。将来的には場所を移して、もっと多くの人が働ける、もっといろいろな作業ができる組織にできたらなって考えています」。地産の食材を生かした組合の仕事が、地元の農家をわずかでも潤し、放置竹林の再生にもつながれば──。そんな地域への想いを胸に、山川さんたちは今日も一つひとつ手作業で仕事を進めていく。

  • 山川さんと女性4名で和気あいあいと働く。女性はいずれも地元の人間で、作業場からすぐ近くに住むお互いよく知っている仲だという

  • 一斗缶から取り出したタケノコを、よく洗ったのち適量サイズにカットして真空パック詰めする。冬場の水仕事は、なかなかに大変

企画・取材・撮影・デザイン・コーディング/アトリエあふろ、執筆/エヌツー(豊川大・小野剛志)

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