主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.03

子どもと一緒に働ける!
主婦が力を最大限に発揮できる雇用システム

<ふるさと名品>

地域に根差す宅配システム

<問い合わせ先>

有限会社駿府宅配センター

TEL 054-283-1117
http://www.gyunyu.co.jp/
kaisya/kaisya1.html

<会社概要>有限会社駿府宅配センター
〒422-8056 静岡県静岡市駿河区津島町12-8
TEL 054-283-1117
<事業概要>各家庭に戸配(戸別配送)する宅配事業、各事業所・オフィスの従業員用に戸配する宅配事業、各保育園・幼稚園・老人ホーム等への普及・販売活動及び宅配事業

有限会社駿府宅配センター

堀由博(ほりよしひろ)さん(47)

静岡県静岡市出身。東京で就職した後、お父様より「一緒に事業をやらないか」と誘われ静岡へ戻り、牛乳の宅配専用商品の販売・配達を行う「有限会社駿府宅配センター」を立ち上げた。2007年、代表取締役就任。就任後は主婦を積極的に雇用するだけでなく、子どもと一緒にいても一層働きやすい環境を作るべく日々邁進している。

主婦が活躍する場だからこそ
働きやすい勤務形態に

「おはよう!」「今日は寒いね」とあいさつを交わしながら、きびきびと配達担当分の牛乳を確認し自分の車に積み込んでいく配達スタッフたち。そのほとんどは女性だ。そこに子どもたちの笑い声も混じり、なんともにぎやかな朝の光景に驚いたが、それが日常であり普通なのだという。

「有限会社駿府宅配センター」では、各家庭に牛乳やヨーグルトなどを週2回宅配する業務を行っている。現在配達スタッフは約120名、その9割は主婦。代表取締役の堀さんは、お父様とともにこの事業を立ち上げた当時から『たくさんの人たちと一緒にやっていこう』という考えだったそうだが、その中でも積極的に主婦を雇用するのは何故なのか。「まずお客様とコミュニケーションをとるのが上手なんですよね。それから、主婦ならではの気配りや細やかさがある。例えば牛乳の受け箱を拭くにしても仕事が丁寧で、仕上がり加減も違います」と堀さんは語る。

堀さんは事業所数が2桁に近づき配達エリアも拡大、配達スタッフも多くなってきたタイミングで代表取締役に就任した。それをきっかけに雇用システムや法的な部分をさらに見直し最適な形に整えた。「配達という仕事の内容から賃金形態は歩合が適していると考えていたので、委託契約という形にしました。ですから配達スタッフは個人事業主になるわけです。もちろんお客様に迷惑をかけることはいけませんが、個人事業主ですので子どもを連れて配達に回るのも、配達の途中で一度自宅に戻ることも本人の裁量に一任しています」

当初は、子どもがいるなら連れてきてもいいというのは暗黙の了解だったが「そのような雰囲気づくりを始めたら、思ったよりも連れてくるお母さんが多かった。それならばと、『子育て中のママがたくさん活躍しています』『子ども同伴で働けます』ということを求人広告などで前面に押し出しました」と、堀さん。

それは、新しく入って来るスタッフだけではなく、既に働いていたスタッフにもよい影響があったのだそうだ。「以前は、子どもが泣いたり騒いだりするとお母さんが恐縮するような部分がやはりあったんです。子どもを連れてきてOKと明言した後は、子どもは泣いたり騒いだりするのがあたりまえなのだから、大人がその中できっちりと仕事ができるようになればいいじゃないかという意識に変わりました」

子どもを連れてくる率も、明言する前は1,2割だったのが5割程度までアップした。さらにはひとりで留守番ができないわけではない、小学校高学年や中学生の子どもでも連れてきやすくなったという意見もある。普段はその必要を感じなくてもいざという時には連れてこられるのは、親として大きな安心に繋がるだろう。

  • 明るく、元気いっぱいの人が集まる。主婦ならではの仕事の細やかさとコミュニケーション力でお客様へ真摯に対応、を心がけている

  • 確認が終わると積み込み。牛乳などの配達物だけでなく保冷剤も入るため結構な重さになるはずなのだが、皆ひょいひょいとスムーズに積んでいく

  • 働く主婦たちからは「職場に、仕事に関してだけでなく何でも話して相談できる仲間たちがいるのは心強い」という声を多く聞いた

働くママを見て子どももポジティブに
何でも相談できる仲間がいる職場

「問い合わせてみたら、本当だったー!って」と笑うのは、今年の7月から配達スタッフとして週2回働き始めた鈴木歩美(すずきあゆみ)さん(32)。子どもはふたり、次女は2歳になったばかりだ。ずっと仕事がしたいと考えていたが、子どもを保育園に入れるのには迷いがあったのだという。「でも子どもがいても連れていける仕事ってなかなか想像ができなくて。内職などもやっていたのですけど、ひとりで部屋にこもっての作業はなんだか追い詰められている気分になることもあるんですよね。そういう時に限って子どもの具合も悪くなって、これをやらなくちゃいけないのに!と焦ったこともありました」。そんな時に友人が求人広告を見つけてくれたものの、本当に子ども同伴でいいのかにわかには信じられず、面接を申し込む前にメールで問い合わせをしたのだそうだ。鈴木さんのように、まずは電話やメールで問い合わせをしたり、面接の前に一度見学に来る人も多いとのこと。

小学生の長女を送り出してから次女をつれて9時ごろ出社、15時には配達を終えるので長女が帰宅する前に自分も家に帰れる。「午前中で学校が終わりの日には、一度途中で子どもを迎えに家へ帰ります。配達エリアも考えてもらえているので、すごくやりやすい」と鈴木さん。家を出る前は不安があっても、事務所に来てしまえば仕事のやり方など気にかけてもらえ、子どもにも温かく接してもらえることで、今日もがんばろうという気持ちになるのだそうだ。事務所に帰ってきたとき「おかえり」と迎えられることも、ほっとするとのこと。

お客様との距離感や、日々のコミュニケーションからも働き甲斐を感じられるという。次女と一緒に配達へ回っていると、まるで自分の子どものようにかわいがってくださるお客様がおやつをくださったりもするのだそうだ。「そういったお客様に、次女がいつもありがとうの気持ちを込めて敬老の日に子どもがお手紙を渡したら、ものすごく喜んでくださったんです。子どもとお客様、両方の笑顔に癒されています」と素敵な笑顔で語ってくれた。

小学校3年生と5年生の子どもを持つ秋山久仁子(あきやまくにこ)さん(41)は、「私が働いているのは子どもにもいいことだと思います」と話す。「今日は苦手な体育があるから嫌だな、とかやっぱりいろいろあるみたいなんですよね。でも、そういうときお母さんもがんばってるからあなたもがんばって、と言える。言うだけじゃなくて朝、一緒に鞄を持って出かけますから、子どももやる気が出るみたいです」

午前中の仕事を探していたのがきっかけだったという秋山さん。子どもが小学校に上がったので普段は1人で配達しているが、夏休みや冬休みには子どもと一緒に回っているとのこと。朝、子どもたちが事務所で遊ぶだけではなく、お母さんを助けようとしている子も多く見られたことについて伺うと「お母さんを助けることができるのも、子どもにとっては楽しみのひとつみたいなんですよ」

この仕事を始めて3年半。他のスタッフは秋山さんを「常に皆を気にかけてくれて、頼りがいのある存在」だと言う。「自分の配達ルートにいらっしゃる方は、自分のお客様だと思って接しています」。お客様が言いにくいだろう配達本数に関しても配慮し、余りがちなのでは?と気が付いたお客様には秋山さんから「配達本数を減らしましょうか」とお伺いすることもある。

配達スタッフとしての顔だけではなく、主婦であり母であるからこその気配りも忘れない。「私の担当には家にいる時間帯の都合で顔を合わせることが少ないお客様も多いですから、お手紙を一緒に入れるとか牛乳を配達するだけではなくてプラスアルファの気遣いを心がけています。『寒くなりましたのでお身体に気をつけて』といった一言程度のものなのですが、『いつも配達ありがとうございます』『お手紙、読みました』とお返事を下さるお客様もいらっしゃるんです!本当に嬉しいですね」

スタッフ同士も、同じ主婦という立場で気の置けないつきあいが出来るのだそうだ。「子どものことや家庭のことはもちろん、『こういうお客様がいるのだけれど、どうしよう?』といったことまでなんでも話します。本当になんでも相談し合える仲間なんですよね」と秋山さん。

ストレスなく働けることが一番、と鈴木さんは言う。事務所にいるときは、配達スタッフ同士で仕事のことや子育てのことを何でも話せて居心地の良い関係をつくりつつも、プライベートでの交流は積極的にしている人もいれば全くしない人もいてそれぞれ自由。「こういうさっぱりとした距離感も、いいなって思っています」

  • 「子どものことを孫のようにかわいがってくださるお客様もたくさん。旅行のお土産をいただいちゃったり(笑)」と鈴木さん

  • 秋山さんは、新人が困っていればアドバイスすることはもちろんだが「あまり年齢は関係なくて、皆同じ仕事をする仲間として和気あいあいとやっています」

  • お母さんが働いているところを見て、お母さんを助けようとする子どもたち。そんな子どもたちの笑顔で活力がさらにわくことも

地域の皆様に健康をお届けしたい
総合的なサービスでさらなる貢献を

静岡県全体を配達エリアにすること、「健康をお届けする」ためにこれからは牛乳だけではなく総合的な宅配を進めていくことが目標だと語る堀さん。

「『健康』は『より良い食べもの』『規則正しい生活』『適度な運動』の3つの要素から成り立つと考えています。添加物や化学調味料が入っていないことはもちろん、一食一食小分けになっているというような、食事の栄養バランスを考えたときに簡単にプラスしやすい加工品などを選んでご紹介しています」。最近では地産地消の観点からも積極的に商品選びをし、静岡市の金山寺みそを取り扱うなど好評を得ている。

「規則正しい生活」「適度な運動」についても貢献できることがある。「例えば年配の方は曜日の感覚が鈍くなりがちですが、毎週決まった曜日の決まった時間に牛乳が届くと『今日は火曜日だな』とわかる。それが規則正しい生活の一歩になるのではないでしょうか。それから、お客様に気軽に行えるスポーツを紹介したり、イベントも開催したいですね。今、グラウンド・ゴルフやファミリーバトミントンなど、子どもから年配の方まで皆で一緒に楽しめる新しいスポーツがたくさん生まれているんですよ」と堀さんは意欲を見せた。

これらはすべて「コミュニケーション含めてのサービス」が要になる。「配達時にお客様と会話をすることで、お客様が笑顔になってくだされば。その笑顔も健康の元ですから」 だからこそ堀さんは、これからも主婦や女性の雇用を積極的に行っていきたいと真摯に取り組んでいるのだ。

しかし、「東京のような、もっと都会のほうならまた違うのかもしれないですが、静岡あたりだとまだまだ主婦には昔ながらの制約が多いのではと感じています」と語る。実際に本人にいくらやる気があっても、家族の同意が得られず辞めていく人は少なくないのだそうだ。「とにかく外に出て働きたい」「社会とつながりを持っていたい」と願い、やる気もあるひとたちのために何ができるのかを堀さんは考えるのだという。

「『今日は早く帰らなきゃ』『なら私がやっておくわ』とお互い助け合う空気ですよね。困った時には助けを求めることを気にしなくてもいいんです」

牛乳の配達サイクルは週二回、「月・木」か「火・金」だ。「例えば参観日など、どうしても重なってしまう日ってあります。でも、先にそういう日はわかるので、前もってお客様に告知をして曜日をずらしたりもしています。お客様のご都合でそれがNGのお宅は、社員が代配をして対応します」 仕事をしていることが家族との間で「制約」にならないよう、会社ができることをともに考え、実行していく。

そのうえで、配達する曜日をずらすといったお願いが可能になることこそ、常日頃から細やかな気遣いと心地よいコミュニケーションをお客様と積み重ねてきた、主婦の力の賜物なのではないだろうか。

  • この日は休日。学校にあがり普段は配達へ一緒に行かなくなった子どもが顔を見せれば「元気だった?」と方々から気さくに声がかかる。子どもたちも久しぶりに会う友達と遊べて嬉しそう

  • 社員が働く事務室も子どもに開放している。滑り台やおもちゃがある子どものための部屋を作る計画もあったそうだが「それよりも好きな場所で好きなように遊ぶほうが楽しそうで」と堀さん

  • 働く仲間にはシニア世代も。皆のお母さん的な、なくてはならない存在として頼りにされている。「元気なうちは働いていたい」「身体を動かす仕事だから、元気でいられそう」ととてもパワフルだった

企画・取材・執筆・撮影・デザイン・コーディング/アトリエあふろ

エントリー企業・団体一覧